東京都交通局は、地下鉄4路線・路面電車(都電)1系統・モノレール1路線・バス約100系統以上を運行する公営交通事業者です。公営企業ということで、利用者の運賃で賄う独立採算性となっていますが、諸々の事情により赤字を一般会計からの繰り入れによって成り立っているのが現状です。経営の効率化と地方公共団体が主体となる交通事業者故の公共性の確保との狭間に立たされていると言えるでしょう。
そのなかで東京都交通局自動車部が掌握するバス事業は、乗合・貸切・特定輸送を行っており、乗合用のバスは約1,800台(※)を有しています。これは国内バス事業者では西日本鉄道・神奈川中央交通に次ぐもので、公営バス事業者では最大という規模です。そう言う点で、東京都交通局のバスはまさに「公営バス事業者の雄」と言えるでしょう。(※注:乗合用バスの所有台数は、平成12年度末で1700台を若干割り込んでいます。)
一方、バス車両そのものに関しては、全長10m20cm前後(ホイールベース4.8m前後)の大型車(いわゆる「大型短尺車」)を標準とし、閑散・狭隘路線用として全長9m前後の中型車を投入しています。接客レベルとしてはリーフ(板)サスペンション・低い背もたれの座席など至って質素なものになっていますが、近年ニーリング機能(乗降時に車高が下がる機能)の標準化に伴なってエア(空気)サスペンションも標準化されました。その中にあって、接客サービスを向上させた特定の系統を「都市新バス」路線として一般車よりグレードアップした専用車両を投入しています。この都市新バス用車両はエアサスペンション・背もたれが高いハイバックシート・逆T字窓(一般仕様車は上下2段窓)を採用していますが、平成9年度に投入された都市新バス仕様車では一般仕様車と同じ座席となってしまいました。
平成12年度分からは全車ノンステップバスで投入されています。
東京都交通局のバスは、一般に「都営バス」や「都バス」と呼ばれています。バスの車体表記は「都営バス」ですし、案内放送では「この都営バスは北車庫前経由赤羽駅東口行きです」となっています。ところが無料配布の路線図は「都バス路線案内」だったり(でも、主要乗り場案内は「都営バスのりば案内」なんですよねぇ・・・)、都区内全線で利用できる定期券は「都バスフリーカード」なんです。(これも券面上は「都営バス定期乗車券」だったりする・・・)都交通局自身両方呼んでいると言うなんともいい加減なものなんですが、私は車体表記に敬意を表して「都営バス」と呼んでいます。ということで、このホームページではすべて「都営バス」と表記しています。(刊行物等固有の表記が「都バス」となっているものは除きます。)
都営バスの所属営業所・納入年度・用途は、車体側面に表示されている記号・番号(局番)でわかります。

(1) 所属営業所:現在は車体に『(深川)』と記されるようになったので、これを知らなくても判るようになった。
東京都交通局では、車両・乗務員等職員を管理・運行を行う組織(いわゆる車庫)を「自動車営業所」と呼称している。
(このホームページでは、基本的に「営業所」と記しています。)
| A:品川 | B:渋谷 | <C:新宿>→分駐所 | D:杉並(支所) | E:小滝橋 |
| F:練馬(支所) | G:大塚 | H:千住 | K:南千住 | L:江東 |
| <M:目黒>→廃止 | N:北 | P:巣鴨 | R:臨海(支所) | S:深川 |
| T:早稲田 | V:江戸川 | W:青梅(支所) | Y:港南(支所) | Z:青戸(支所) |
(2) 納入年度:この記号により納入年度がわかる。年度は4月から翌年3月までの会計期間で区切っているので、平成10年1〜3月
に納入された新車は「平成9年度車」として「D」が付いている。(本サイトでは、この記号を用い「*代車」と記します。)
| N:昭和59年度 | P:昭和60年度 | R:昭和61年度 | S:昭和62年度 | T:昭和63年度 |
| V:平成元年度 | W:平成2年度 | X:平成3年度 | Y:平成4年度 | Z:平成5年度 |
| A:平成6年度 | B:平成7年度 | C:平成8年度 | D:平成9年度 | E:平成10年度 |
| F:平成11年度 | G:平成12年度 | H:平成13年度 | K:平成14年度 | L:平成15年度 |
| M:平成16年度 | N:平成17年度 |
(3) 用途:以前はツーマン・ワンツー兼用・ミニバスなどの区分もあったが、現在は次の区分で落ち着いてる。
用 途 |
付番区分 |
| 貸切 | 001〜089 |
| 深夜急行用 | 090〜099 |
| 大型路線車 | 100〜799 |
| 中型路線車 | 800〜899 |
| 特定 | 900〜999 |
※ 同一投入年度では、投入時期(前期・後期など)である程度同じ範囲で付番されますが、必ずしも登録番号順にはなっていないよう
です。D代の大型車では、ノンステップ・低公害車(アイドリングストップ機能だけのバスを除く)・それ以外、と言った感じで振り分けられ
ていました。ちなみに、D代車は前期・後期という投入時期のずれはありませんでした。
都営バスが投入するバスは、いすゞ・日産ディーゼル・日野・三菱の国内バスメーカー4社から導入しており、いすゞ・三菱・日産ディーゼルがそれぞれ2社から車体架装をしています。配置される営業所ごとにシャーシ・ボディーメーカーの組み合わせの指定が決まっています。
また、運転席側のサイドミラーの形状や運賃箱メーカー、車内放送の声・チャイム音も営業所によって異なっています。
| 営業所(支所) | シャーシメーカー | ボディメーカー | サイドミラー形状 | 料金機メーカー※ | 車内放送の声 |
| 品 川 | 日 野 | 日野車体 | 前方飛び出し | 小田原 | Bタイプ |
| 渋 谷 | 三 菱 | 新呉羽→MBM | 前面横 | NEC | Aタイプ |
| 新 宿 | いすゞ | いすゞ | 前面横 | 小田原 | Bタイプ |
| 杉 並 | 日 野 | 日野車体 | 前方飛び出し | 小田原 | Aタイプ |
| 小滝橋 | いすゞ | いすゞ | 前面横 | 小田原 | Bタイプ |
| 練 馬 | 日産ディーゼル | 富士重工(西日本車体工業) | 前面横 | 小田原 | Bタイプ |
| 大 塚 | いすゞ | いすゞ | 前面横 | NEC | Bタイプ |
| 千 住 | 三 菱 | 三菱→MBM | 前面横 | NEC | Aタイプ(初期) |
| 南千住 | 三 菱 | 三菱→MBM | 前面横 | 小田原 | Aタイプ |
| 江 東 | 日産ディーゼル | 富士重工(西日本車体工業) | 前面横 | NEC | Aタイプ |
| 目 黒 | 日 野 | 日野車体 | 前方飛び出し | 小田原 | Bタイプ |
| 北 | 日産ディーゼル | 富士重工(西日本車体工業) | 前方飛び出し | NEC | Aタイプ |
| 巣 鴨 | いすゞ | 富士重工 | 前方飛び出し | NEC | Aタイプ(初期) |
| 臨 海 | いすゞ | いすゞ | 前面横 | 小田原 | Aタイプ |
| 深 川 | いすゞ | 富士重工 | 前方飛び出し | 小田原 | Aタイプ |
| 早稲田 | 三 菱 | 新呉羽→MBM | 前面横 | NEC | Bタイプ |
| 葛 西 | 日 野 | 日野車体 | 前方飛び出し | 小田原 | Bタイプ |
| 青 梅 | 日 野 | 日野車体 | 前方飛び出し | 三陽 | Aタイプ(初期) |
| 青 戸 | 三 菱 | 三菱→MBM | 前面横 | 小田原 | Bタイプ |
サイドミラーの形状は「前方飛び出しタイプ」と「前面横タイプ」の2種類存在します。日野車・いすゞ+富士重工車は前方飛び出しタイプ、いすゞ+いすゞ車・三菱車は前面横タイプとなっており、日産ディーゼル車は所属営業所によって異なっています。ただ、基本外の形状となるケースも存在しています。
車内放送の声は、下のように分類できます。
放送前のチャイムが「ピーポー」とあまりはっきりした音ではなく、声があまり若そうではないのがAタイプ。
Aタイプのうち「次は、西巣鴨、西巣鴨・・・でございます。」と妙な間が空くのがAタイプ(初期)。
(Aタイプ(初期)は、音声合成式放送装置を最初に導入したモデルです。)
放送前のチャイムが「ピンポン」と割とはっきりした音で、声がAタイプより若そうなのがBタイプ。

料金器と共に更新されているのが停留所名表示器です。上の画像は交換が進んでいる旧タイプです。次停留所名と簡単な広告を表示するだけのものでしたが、一頃は青梅支所を除く都営バスに乗ると必ず見ることができる装置でした。「次は」の部分は表示内容によって点灯する仕組みになっていますが、玉切れで「次は」が点かなくなることもありました。

目黒支所所属車の表示器

北営業所所属車の表示器
更新された停留所名表示器は2種類存在します。サイズが異なっていたり、LEDの発色が下の画像(北営業所所属車)のタイプがよりはっきりしているところはありますが、2段表示できる点は同じです。
更新は営業所単位で行われ、料金器とは別のスケジュールで進められています。料金器・停留所表示器共に、旧タイプはまもなく姿を消すことになりそうです。

(左:「前方飛び出しタイプ」の北営業所所属の日産ディーゼル車 右:「前面横タイプ」の江東営業所所属の日産ディーゼル車)
メーカーについては、下のような注釈があります。
ボディメーカーの『いすゞ』は正式には「いすゞバス製造」と言い、「川重車体→IKC(アイ・ケイ・コーチ)→いすゞ」の順で変遷しています。

左から、新呉羽製車体・三菱製車体の先代エアロスター(共に三菱U−MP218K)・MBM製車体のエアロスター(三菱KC−MP717K)
(撮影:森茂樹氏)
ボディメーカーの『新呉羽(新呉羽自動車工業)』は、後に『三菱自動車バス製造(略称:MBM)』に社名変更しました。社名変更後は『三菱』と同じスタイルとなりました。(リフト付き超低床バスを除く)
ボディメーカーの『三菱』は三菱自動車工業名古屋製作所で製造されたものを示します。C代から投入されたニューエアロスターからは、車体を『MBM』で集約製造するようになったので、現在は投入していません。
この配置は基本的なものですので、リフト付き・ノンステップ・低公害(アイドリングストップ機能だけのバスを除く)などで例外があります。
また、古参車では他営業所への転属も行われているので指定外配置も見られます。
さらに、都06系統の運行を目黒と渋谷の共管となった関係で、渋谷営業所へ日野車が配置されるようになりました。
平成12年12月の路線再編により、所管路線や在籍車両の車歴調整の関係で指定メーカー以外の配置が多数発生しています。
中型車(9m未満の車)の組み合わせは、いすゞ+IKC(現いすゞ)・日野+日野車体・三菱+新呉羽/MBM ・日産ディーゼル+西日本車体工業です。
平成13・14年度納入車は基本的に指定メーカーが配置されていますが、車型によって指定外メーカーが配置されています。
三菱自動車工業(株)は乗用車・トラック・バスを製造・販売していましたが、平成15年1月にトラック・バス部門を分離して「三菱ふそうトラック・バス(株)」となりました。(このホームページ内の表記は引き続き「三菱」とします。)

(局番:S−T393 三菱P−MP218K+三菱 江東区東雲付近)
通常と異なる配置の例:深川はいすゞ+富士重工が基本だが、千住から転属したS−T393は三菱+三菱ということで異彩を放っている。
(平成10年度に除籍となった模様です。)

(局番:G−V579 日産ディーゼルP−U33K+富士重工 大塚駅前)
通常と異なる配置の例2:大塚はいすゞ+いすゞ(旧IKC)を基本配置としているが、江東から転属してきたG−V579はちょっと変わった存在となっている。一時期はT代の日産ディーゼル車も在籍したことがあるが、現在は除籍されている。

(局番:K−W103 三菱U−MP618K+新呉羽 撮影:匿名希望様)
三菱車は、車体メーカー2社で製造・投入していた頃は明確に配置営業所をわけていたが、古参車は指定外の営業所に転属となるケースが見られる。画像のK−W103は元渋谷の都市新バス仕様車だったが、南千住へ転属してからは一般路線用として使用されている。

(局番:P−H237 日野KL−HR1JNEE+日野車体)
平成13年度に投入された日野KL−HR1JNEEと日産ディーゼルKL−JP252NAN改は、中型車をベースにロングホイールベース化したノンステップバスである。いすゞと三菱にはこの仕様のモデルが存在しないため、いすゞ・三菱指定配置営業所にこれらのモデルが投入されている。画像はいすゞ配置の巣鴨営業所に投入された日野HR。