路線バスの屋根上にツキモノなのが「エアコンの出っ張り」ですね。都営バスでは、分散型及びビルトイン型エアコンを主採用しているいすゞ車を除いて、エアコンの出っ張りがあります。(いすゞ車でも、超低床・低公害系車でコンデンサを屋根上に積載しています。)このエアコンの出っ張りは「エバポレータ」(蒸発器)と呼ばれる装置で、車内の吸気口から空気を取り入れて熱を奪い、冷えた空気を車内へ送る役割を持ちます。この形状はメーカーによって異なりますが、ここでは日野製大型路線バス「ブルーリボン」のエバポレータの形状の変遷について扱っていくことにします。日野製の路線バスにはデンソー製のエアコンが積載されています。
(このページ、画像がちょっと多いので重くなっています。申し訳ありません。)
※ 補足
屋根上に積載するエアコン機器はエバポレータだけではなく、コンデンサ(凝縮器:エバポレータで奪った熱を外へ逃がす装置)を積載するものも存在します。元々コンデンサは床下に積載するものでしたが、床下に低公害用装置(畜圧用ボンベや圧縮天然ガスボンベなど)を積むことになってスペースがなくなったり、ノンステップバスなど超低床系車ではスペースそのものがないケースがでてきており、そのような場合はコンデンサを屋根上に積むことで対応しています。

(川中島バス 社番:42097(元都営バスN代車) 日野P−RT223AA+日野車体 長野駅前)
M代後期からP代前期まで投入されたP−RT223AAです。この時代のボディはやや角張っていますが、エバポレータも後側に傾斜があるタイプとなっていました。なお、バス事業者によっては外気導入型を採用しており、エバポレータ側面にルーバーがあるものも存在しています。
(バス事業者によっては、同じボディでエンジンが異なるP−HT223AAを採用していました。エバポレータはP−RT223AAと同じです。)

(局番:V−X602 日野U−HU2MLAA+日野車体 江東区東雲付近)
P代後期からD代まで投入されたP−HT(HU)233BA・U−HT(HU)2MLAA・KC−HT(HU)2MLCA(以上代表型式:同時期に投入されたHIMRも含まれます。)では、やや丸みを帯びた形状となり、P−RT223AAで見られた後面の傾斜は無くなっています。上の画像は都市新バス仕様車で、外気導入型エバポレータを採用していることから側面にルーバーが設けられています。(一般仕様車にはルーバーがありません。)

(局番:M−S203 日野P−HU233BA+日野車体 江東区東雲付近)
外気導入型エアコンを採用した都市新バス仕様車のうち、一部の車に上の画像のようなルーバーに蓋をした形状のものが存在しています。


(大阪市交通局(中津営業所所属) 局番:44−2512 日野U−HU2MMAA+日野車体 中津営業所内(許可を得て撮影))
都営バスではありませんが、特殊な例を紹介します。大阪市営バス中津営業所に所属するリフト車のうち、44−2512号車など一部の車では屋根の出っ張りが薄いエバポレータを搭載しています。屋根上だけ見ると薄型に見えますが(上の画像参照)、車内天井部を見るとエバポレータ部分が掘り下げられて低くなっているので(下の画像参照)、装置自体は普通のものなのでしょう。
元々、大阪市営バスの所管路線には高さ制限がシビアな箇所が存在しているそうです。ビルトイン型エバポレータに関しては、以前よりいすゞ・日産ディーゼルで採用され(低公害車でもコンデンサを床下に積載している。)、日野は都営より1年早くビルトイン化し、三菱もニューエアロスターにモデルチェンジ後はビルトイン型を採用しています。シビアな路線環境から、このような形状のエバポレータが登場したのでしょうね。

(局番:D−E430 日野KC−HU2MLCA+日野車体 江東区東雲付近)
平成10年秋に日野ブルーリボンシリーズのマイナーチェンジが行われ、その際にビルトイン型エバポレータが標準装備となりました。これを受けたE代車では屋根上からエバポレータの出っ張りの姿が消えました。都営バスでは、A代車から通風機を4個から2個に減らしているため、妙に寂しい屋根になってしまいました。

(東急バス(東山田営業所所属) 社番:H1828 日野KC−HT2MLCA+日野車体 東山田営業所付近(公道上より撮影) 撮影:森茂樹氏)
これも都営バスには無い例の紹介です。東急バスでは以前より外気導入型エバポレータを採用していますが、ビルトインエアコンの標準化により上の画像のような形状で登場しています。確かにエバポレータはありませんが、かわりに横長で薄い形状の機器が搭載されています。おそらくこれが外気導入部の装置かと思われます。ちなみに、東急バスに投入された日野製ノンステップバスには上の画像と同じような機器が搭載されています。(都営の日野製ノンステップバスには搭載されていません。)

(局番:V−B751 日野KC−HU2MLCS+日野車体 江戸川区葛西駅前)
X代からB代まで投入されて都営以外ではあまり見られないリフト付きの都市型超低床車では、エバポレータとコンデンサを一体化した形状となっています。なお、X〜A代とB代では装置の位置が異なっています。(W代のスロープ付都市型超低床車では、普通のエバポレータの形状となっています。)

(大阪市交通局中津営業所所属 局番:49−3330 日野KC−HU2PMCE+日野車体 中津営業所内(許可を得て撮影))
(ちょっとおかしな構図ですが・・・)日野製ノンステップバスではエバポレータはビルトイン型になっていますが、床下にコンデンサを積載するスペースが確保できないため屋根上に積載しています。(上の画像参照)